ROK-SEY
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「第20回 THREE BLIND MICEでも聴いてみよう − その2」
どうもみなさまこんばんは!。前回に続いてTHREE BLIND MICEについてで宜しくお願い致します!。TBMについて。ということなのですが私が当時をリアルタイムで体験出来ている訳でも無し。そんなこんなで後付編纂作業になりがちな訳ですが、先達にリスペクトしつつも恐縮な感じで進めさせて頂ければと思います。

TBMはプロデューサーの藤井武氏によるレーベル。1970年の6月に発足し、第一作目となった峰厚介氏の「ミネ」の録音が1970年の8月4、5日。そのレーベル名の由来は「THREE BLIND MICE」でググると出てくる「三匹の盲目ネズミ」というマザーグースの一遍から取られたものだそうです。ART BLAKEYにも「THREE BLIND MICE」という曲名がございますが別件とのこと。そのレーベル発足からのリリースですが、その70年には4枚を発表。続く71年には5枚、72年に4枚、73年に11枚、74年は14枚 75年に21枚、76年に21枚、77年に15枚、78年6枚、79年に10枚、80年に・・・といった具合に作品を量産していきます。

そのレーベルの姿勢においては幾つかのライナー・ノーツで武井氏ご自身が語られていて、「TBMの制作方針として、楽しいジャズ、スイングするジャズ、想像的なジャズ、個性的なジャズの四本柱を基盤にしてきた」、「ジャズはスウィングして楽しいものでなければならない」、「優れたジャズ作品を制作して、ジャズを広めることが、最高の目標なのである」等々。ヴェテラン・ヴォーカリストに録音の場を多々提供し、当時ニュー・ジャズやといわれた範疇やフリーであったりビッグ・バンドであったり、そして東京のみが舞台であった時代に、地方(大阪や名古屋)でのジャズ・クラブで演奏してきた新進気鋭のミュージシャン、大物アーティスト等々、作品の内容はヴァラエティーに富んでいますが、その4本柱、納得なところかと。多くのライヴ盤をTBMは残していますが、その多くはスウィングするジャズというところを大きく表現している作品ばかり。そして「優れたジャズ作品を制作して、ジャズを広めることが、最高の目標なのである」。これについては皆さんも周知の通りかと。

TBMといえばミキサー神成芳彦氏の存在も忘れられません。更にはカッティングの小鉄氏。とあるライナーにはこのような一言も。「生演奏の場に於ける音量を再現できるようにミキシング及びカッティングを行ってあるので、途中で音量を加減しないでいただきたい」と。TBMのみならず当時の日本のジャズ・シーンではAudio Lab等、録音セットや機材情報もライナーに載せており、そのこだわりが感じられます。そして、あのB5サイズのライナー・ノーツ。中古で買ってコレがないとTBMな気がしないというか、がっかりな訳です。ちなみに帯のネズミマークを集めて送ると専用ファイルがプレゼントという企画もあったようです。

さて、そろそろ纏めに入ろうかなぁ、と思ったりもする訳ですが、ここで色々書いていて、私、TBMを総括できない事に気付いてしまいました。多分きっと酩酊してるせいでも仕事でへとへとなせいでもないと思うんですけど。例えばUSの名門ジャズ・レーベルの違いを、ということであれば一言ずつであればざっくりと述べようもありそうですが、TBMについてといわれると「日本の70年代において力強い信念においてジャズ・シーンを揺るがし牽引したレーベル」としか言えない気がしてきます。おべっか抜きでね。内容的にはヴァラエティーに富みつつも一本筋が通ったような・・・。という我ながらまさかの投げっぱなしな纏めっぷりに自分もびっくりです。あああ。でも、それも間違っちゃいないんじゃないかなって思ったりもしたりしつつ。他の和ジャズ・レーベルについても同じことが言えるかな。ジャズなんてマイナーな音楽。でも「優れたジャズ作品を制作して、ジャズを広めることが、最高の目標なのである」。という人たちが多くいらっしゃることに感謝とリスペクトを込めて!

なんだか強引な締めで面目ないです。以下にTBMの全カタログでございます。「ジャズ批評」さまに多くを参照でございます。「ジャズ批評」の和ジャズ特集、「130」と「131」は皆さん必読です。ちなみにTBMではセカンド・プレス以降は、例えば「2501」のように型番の頭に「25」が付く形となり、ものによってはジャケット・デザインも大幅に変更されております。そして、後にはTRIOや日本フォノグラムへ資本は引き継がれていきます。今回もセカンド・ジャケもちょいちょい込みで恐縮ですが、何卒、宜しくお願い致します!。

以上、お付き合い有難う御座いました!。


■1970
TBM-1 峰厚介5 「ミネ」1970/8/4,5
TBM-2 今田勝4 「ナウ」1970/8/10,11
TBM-3 植松孝夫4/5 「デビュー」 1970/11/9
TBM-4 峰厚介5 「セカンド・アルバム」 1970/11/29,12/2

■1971
TBM-5 アルバート・マンゲルスドルフ 「ディギン」 1971/2/15
TBM-6 金井英人グループ 「Q」 1971/5/9,17
TBM-7 アラン・プラスキン4 「エンカウンター」 1971/5/6
TBM-8 笠井紀美子、峰厚介4 「イエロー・カーカス・イン・ザ・ブルー」 1971/7/11,13
TBM-9 高柳昌行、金井英人、日野晧正、山下洋輔 「銀巴里セッション」 1963/6/26

■1972
TBM-10 高柳昌行とニュー・ディレクション・フォー・ジ・アーツ 「フリー・フォーム組曲」 1972/5/19
TBM-11 戸谷重子と今田勝3 「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」 1972/10/17,18
TBM-12 和田直4/5 「ココズ・ブルース」 1972/10/23
TBM-13 ジョージ大塚5 「ゴー・オン」 1972/11/28,29

■1973
TBM-14 今田勝ソロ&トリオ 「ポピー」 1973/1/25,26
TBM-15 鈴木勲3/4 「ブローアップ」 1973/3/29,30
TBM-16 戸谷重子とジャズ・フレンズ 「ファイン・アンド・メロー」 1973/5/17,18,24
TBM-17 日野晧正5 「ライヴ!」 1973/6/2
TBM-18 中村照夫グループ 「ユニコーン」 1973/5/18,6/18
TBM-19 福村博5 「モーニング・フライト」 1973/8/22
TBM-20 宮元直介7 「ステップ!」 1973/8/25,26
TBM-21 中本マリと大沢保朗3+2 「アンフォゲッタブル」 1973/9/12,14
TBM-22 今田勝4、戸谷重子、森剣冶 「横浜コンサート」 1973/6/21

■1974
TBM-23 山本剛3 「ミッドナイト・シュガー」 1974/3/1
TBM-24 鈴木勲4+1 「ブルー・シティ」 1974/3/4
TBM-25 和田直4/5 「ブルース・ワールド」 1974/3/25
TBM-26 菅野邦彦3+1 「慕情」 1974/3/22
TBM-27 森剣冶、市川秀男3 「ソロ&トリオ」 1974/3/22,26
TBM-28 水橋孝4+2 「男が女を愛する時」 1974/3/23,26
TBM-29 山本剛3+2、ジョージ大塚5 「ナウズ・ザ・タイム」 1974/3/26
TBM-30山本剛3 「ミスティ」 1974/8/7
TBM-31 水橋孝 「フー・ケアズ」 1974/8/28
TBM-32 宮間利之とニュー・ハード 「ニュー・ハード」 1974/9/27
TBM-33 中本マリ、横内章次3、田代ユリ 「リル・ガール・ブルー」 1974/9/30,10/2
TBM-34 笠井紀美子、峰厚介4 「イエロー・カーカス・イン・ザ・ブルー」 1971/7/11,13 (*TBM-8)
TBM-35 ザ・トリオ 「ユー・アー・マイ・サンシャイン」 1974/10/31
TBM-36 鈴木勲4+1 「オール・ライト」 1974/11/18,19
TBM-37 山本剛3+1 「ライブ・アット・ミスティ」 1974/12/25

■1975
TBM-38 古谷充 「ソリチュード」 1975/1/17,18
TBM-39 今田勝3+2 「グリーン・キャタピラー」 1974/1/20,22
TBM-40 後藤芳子、水橋孝4 「デイ・ドリーム」 1975/2/17,18
TBM-41 山本剛3 「ブルース・フォー・ティー」 1974/12/25
TBM-42 今田勝4 「ナウ」1970/8/10,11 (TBM-2)
TBM-43 稲葉国光、仲牟礼貞則 「カンヴァセイション」 1975/4/5
TBM-44 鈴木勲4+2 「オラウータン」 1975/4/4
TBM-45 金井英人とキングス・ロア 「鳥の詩」 1975/3/2,16
TBM-46 土岐英史4 「トキ」 1975/3/17
TBM-47 今田勝3 「ワン・フォー・デューク」 1975/3/27
TBM-48 宮間利之とニュー・ハード 「テイク・ジ・A・トレイン」 1975/3/27
TBM-49 和田直5、植田ひとみ、酒井潮 「ブルース・フォー・バード」 1975/3/26
TBM-50 水島早苗、市川秀男3アンサンブル 「ユーヴ・ガット・ア・フレンド」 1975/6/9,24,25
TBM-51 大友義雄、土岐英史 「ラヴァーマン」 1975/3/26
TBM-52 山本剛3 「ジ・イン・クラウド」 1974/12/25
TBM-53 中村誠一3/5 「アドヴェンチャー・イン・マイ・ドリーム」 1975/9/11
TBM-54 後藤芳子、稲葉国光、仲牟礼貞則 「ア・タッチ・オブ・ラブ」 1975/10/7,9
TBM-55 水野修孝、宮間利之とニュー・ハード 「ジャズ・オーケストラ ‘73」 1973/8/23,9/2 (TBM-1001)
TBM-56 中本マリ、鈴木勲、渡辺香津美 「マリ・ナカモト III」 1975/11/25,26
TBM-57 鈴木勲とジャズ・フレンズ 「タッチ」 1975/11/20,26
TBM-58 森山浩二、山本剛3 「ナイト・アンド・デイ」 1975/12/16
TBM-59 ヤマ&ジローズ・ウェイヴ 「ガール・トーク」 1975/12/17

■1976
TBM-60 今田勝 「今田勝ピアノ」 1976/1/26
TBM-61 日野元彦 「流氷」 1976/2/7
TBM-62 ジョージ大塚5 「フィジカル・ストラクチュア」 1976/2/11
TBM-63 鈴木勲3 「黒いオルフェ」 1976/2/20
TBM-64 笈田敏夫 「ヴェリー・グッド・イヤー」 1976/3/17,18
TBM-65 横内章次4 「ブロンド・オン・ザ・ロックス」 1976/3/16
TBM-66 ジョージ川口とビッグ4 「ザ・ビッグ4」 1976 4/12,19
TBM-67 宮間利之とニュー・ハード 「サンデイ・シング」 1976/3/4,7
TBM-68 高橋達也と東京ユニオン 「ガット・ザ・スピリッツ」 1976/3/18
TBM-69 山本剛3 「サマータイム」 1976/3/17
TBM-70 水野修孝、宮間利之とニュー・ハード 「水野修孝の世界」 1976/3/26
TBM-71 戸谷重子、中本マリ 「シゲコ&マリ」 1976/3/25
TBM-72 太田邦夫4+1 「フリー・アンド・ラブリー」 1976/7/26
TBM-73 市川秀男3 「明日への旅立ち」 1976/7/27,8/17
TBM-74 松本英彦4 「スリーピィ」 1976/9/13,24
TBM-75 和田直5+1 「フォー・シーンズ」 1976/9/14
TBM-76 鈴木勲7 「あこの夢」 1976/10/19
TBM-77 今田勝3 「スタンダード」 1976/10/26,30
TBM-78 福井五十男 「サンライズ・サンセット」 1976/10/18,20

■TBM1001-1005
TBM-1001 水野修孝、宮間利之とニュー・ハード 「ジャズ・オーケストラ ‘73」 1973/8/23,9/2
TBM-1002,1003 ジョージ大塚5 「イン・コンサート」 1973/10/11
TBM-1004 水野修孝、宮間利之とニュー・ハード 「ジャズ・オーケストラ ‘75」 1975/9/3
TBM-1005 三木敏悟、高橋達也と東京ユニオン 「北欧組曲」 1977/3/15,22

■TBM3001-3009
TBM3001 高橋達也と東京ユニオン 「処女航海」 1976/12/4,5
TBM3002 太田邦夫5 「俺たちの青春」 1976/12/19,20
TBM3003 森剣治4 「ファイアバード」 1977/1/6,7
TBM3004 辛島文雄3 「ギャサリング」 1977/2/1,2
TBM3005 中本マリ、横内章次3/7 「マリ」 1977/4/9,13
TBM3006 今村祐司とエアー 「エアー」 1977/4/12,20
TBM3007 大友義雄4 「ムーン・エアー」 1977/4/21,22
TBM3008 細川綾子 「ミスター・ワンダフル」 1977/6/9,10
TBM3009 山本剛3、ストリングス 「スター・ダスト」 1977/8/2,3,18

■TBM4001-4003
TBM4001 ジミー・ヨーコ 「清少納言」 1978/6/22,23
TBM4002 ウィンドウ・ペイン 「ウィンドウ・ペイン」 1978/6/5,6
TBM4003 ZAP 「ドリーム・トラヴェラー」 1979/6/13,14

■TBM5001-5047
TBM5001 和田直4 「ブルース・ブルース・ブルース」 1977/7/26
TBM5002 森山浩二、山本剛3 「スマイル」 1977/12/29,30
TBM5003 今田勝、ジョージ・ムラツ 「アローン・トゥギャザー」 1977/10/24
TBM5004 ティー&カンパニー 「ソネット」 1977/11/13
TBM5005 細川綾子、今田勝4 「ノー・ティアズ」 1977/12/27,28
TBM5006 ティー&カンパニー 「ドラゴン・ガーデン」 1977/11/15,28,12/1
TBM5007 今田勝4 「リメンバー・オブ・ラヴ」 1978/2/18
TBM5008 ティー&カンパニー 「スパニッシュ・フラワー」 1977/11/13,14
TBM5009 今田勝3 「ミッドナイト・サン」 1978/6/3,4
TBM5010 三木敏悟、インナー・ギャラクシー 「海の誘い」 1978/6/20,27-30
TBM5011 横内章次3、田代ユリ 「グリーンスリーヴス」 1978/9/6,8
TBM5012 金井英人5 「アラフェンス協奏曲」 1978/11/2
TBM5013 細川綾子、宮間利之とニュー・ハード 「コール・ミー」 1979/1/6
TBM5014 松本英彦4 「サンバ・デ・サン」 1979/3/18,26
TBM5015 金井英人5 「ホッワット」 1979/3/12,15
TBM5016 宮間利之とニュー・ハード 「ギャラリー」 1979/6/18,19
TBM5017 原信夫とシャープ&フラッツ 「活火山」 1979/6/25,26
TBM5018 高柳昌行4 「クール・ジョジョ」 1979/12/3
TBM5019 山本剛3 「ライブ・イン・モントルー」 1979/7/11
TBM5020 三木敏悟、インナー・ギャラクシー 「モントルー・サイクロン」 1979/7/11
TBM5021 山本剛3、ストリングス 「スター・ダスト」 1977/8/2,3,18 (*TBM3009)
TBM5022 ZAP 「オー!サンシャイン」 1980/5/10,11,14,16,17,21
TBM5023 高柳昌行 「高柳昌行とニュー・ディレクション・ユニット」 1980/5/26
TBM5024 森剣冶+5 「ビー・バップ ‘82」 1982/5/20
TBM5025 中山英二5+1 「北の大地」 1982/4/3,4
TBM5026 デューク・ジョーダン3 「ソー・ナイス・デューク」 1982/6/26
TBM5027 高柳昌行 「ロンリー・ウーマン」 1982/8/21,22
TBM5028 マーサ三宅/レッド・ミッチェル3 「リメンバー」 1982/5/9,7/4
TBM5029 大隈寿男3 「ウォーターメロン・マン」 1983/3/6
TBM5030
TBM5031 山中良之5+2 「ペギーズ・ブルー・スカイライト」 1988/9/11
TBM5032 加藤崇之3+1 「ギター・ミュージック」 1989/6/7
TBM5033 早坂紗知&STIR UP 「ストレート・トゥ・ザ・コア」 1989/11/5,6,25
TBM5034 藤原幹典4+1 「タッチ・スプリング」 1989/10/18
TBM5035 ティー&カンパニー 「出雲阿国」 1989/8/5
TBM5036
TBM5037 大野俊三5 「マヤ」 1991/7/22,23
TBM5038 藤原幹典G 「野ばら」 1991/11/4
TBM5039 細川綾子/ティー・カースン3+1 「ウィスパー・オブ・ラブ」 1993/2
TBM5040 酒井潮G 「ブルース・ミーティング」 1993/11/21,22
TBM5041 加藤崇之3 「ギター・スタンダード」 2001/2/17,18
TBM5042 蒲池猛NYリズム・セクション+2 「スプレッド」 2001/7
TBM5043 赤松敏弘G 「シックス・インテンション」 2003/4/13-15
TBM5044
TBM5045
TBM5046 赤松敏弘G 「スティル・オン・ジ・エア」 2003/8/17,25
TBM5047 シナプス (加藤崇之+ざかゆき) 「シナプス」 2003/9/14

ふぃ・・・。資料では欠番や録音日が無いものもありましたが追記致しましたー。幾つかまだ空いております。これは欠番かなぁ。もし御存知の方は教えて頂ければ幸いです!。宜しくお願い致します!。




MASARU IMADA TRIO + 2 / GREEN CATERPILLAR (TBM 39 - 1975)

今田勝氏のトリオに渡辺香津美氏のギター、今村祐司氏のパーカッションを加えた編成。タイトル曲の「GREEN CATERPILLAR」はTBM随一のファンク・ナンバーとして人気。そして福井五十雄氏のアルコ、ピチカートがマッドに響くイントロを抜けての「SPANISH FLOWER」が何よりマジで最高なのです。
ISAO SUZUKI QUARTET + 2 / ORANG-UTAN (TBM44 - 1975)

鈴木勲氏、渡辺香津美氏、河上修氏、守新治氏によるカルテットに、森剣治氏に中本マリ氏。中本マリ氏はSHERRY HORNのカヴァー。やっぱり鈴木勲氏のベースはファンキー。「ORANG-UTAN」はCTIのHUBBARD諸作だったり、もっとゴリゴリした感じだとMUSE期のBUSTER WILLAIMASを思わせたり。
HIDETO KANAI & KING’S ROAR / ODE TO BIRDS (TBM45 - 1975)

金井英人氏率いるオーケストラによる「Q」に続くTBM2作目「鳥の詩」。大所帯の編成ですが、スウィンギーといったものでもなく、ジャズと現代音楽の融合とてでも言えそうな、例えばUKのGRAHAM COLLIER辺りも思わせるUKジャズ・ロック的な要素もあるコンポジション重視の作風。国歌ではないよ。
HIDEFUMI TOKI QUARTET /TOKI (TBM46 - 1975)

土岐英史氏の初リーダー作で、渡辺香津美氏、井野信義氏、STEVE JACKSONのワン・ホーン・ギター・カルテット。ジャケットにあるように、まずは「LULLABY FOR THE GIRL」でソプラノを披露。続いてもオリジナルの「DARKNESS」はアルトでのバラード。全編彼のバラード・プレイが光る真摯なアルバム。
TOSHIYUKI MIYAMA & THE NEW HERD / TAKE THE “A” TRAIN (TBM 48 - 1975)

「LIVE IN 5 DAYS IN JAZZ ‘75」から。ELLINGTONの追悼盤としてTBMに残された今田勝氏のソレと並んでの1枚。「IN A SENTIMENTAL MOOD」などを取り上げておりますが気になるのがHUBBURDの「GIBRALTAR」のカヴァー。オリジナルのパーカッシヴ感は無いもののビッグ・バンドとして最高。
YOSHIO OTOMO/HIDEFUMI TOKI ALTO-MADNESS / LOVER MAN (TBM51 - 1975)

大友義雄氏と土岐英史氏の2本のアルトに、渡辺香津美氏、井野信義氏、STEVE JACKSON氏によるセット。PARKERへの敬愛を込めての「アルト・マッドネス」ですがRICHIE COLEとどちらが先でしょうか。「LIVE IN 5 DAYS IN JAZZ ‘75」から。ブルージーな2本のアルトにギターが良く似合います。
SEIICHI NAKAMURA TRIO/QUINTET / ADVENTURE IN MY DREAM (TBM53 - 1975)

山下洋輔バンドで活動していたサックス奏者、中村誠一氏のリーダー作。楠本卓司氏、成重幸紀氏、そして杉本喜代志氏に板橋文夫氏というメンバー。新主流派的なオリジナル楽曲の3曲の中で、やはり板橋氏的なピアノが光ります。杉本氏、中村氏も勿論ですがベースも効いてます。今度、板橋氏特集でも。是非。
YOSHIKO GOTO WITH INABA & NKAMURE DUO / A TOUCH OF LOVE (TBM54 - 1975)

後藤芳子さんのヴォーカルと稲葉国光氏のベースと中牟礼貞則氏のギターによる作品。ということで渋い訳ですが、個人的にはTBMの中でもお気に入り。ギターの温かみも好きですし、後藤芳子さんの歌う英詩も気にならない、というかステキ。「INVITATION」や「BAUBLES, BANGLES AND BEADS」とか。
ISAO SUZUKI & HIS FELLOWS / TOUCH (TBM57 - 1975)

鈴木勲氏、菅野邦彦氏、小原哲次郎氏のピアノ・トリオに、渡辺香津美氏、伊勢昌之氏のギターに小川庸一氏のコンガが加わる編成。ファンキーなオリジナルの「TOUCH」、コンガが軽やかなスウィング「ON THE TRAIL」、「SHE’S FUNNY THAT WAY」、そして「ROUND ABOUT MIDNIGHT」の4曲。
KOJI MORIYAMA WITH THE TSUYOSHI YAMAMOTO TRIO / NIGHT AND DAY (TBM59 - 1975)

以前も和ジャズの回でこの盤を挙げさせて頂きました。森山浩二氏のヴォーカルとパーカッションに、山本剛氏、井野信義氏、小原哲次郎氏のトリオによるアルバム。パーカッションとヴォーカルが軽やかにスウィングするジャズ・アルバムです。特に「NIGH AND DAY」。クラブ方面でも以前からの人気盤です。
SHUKO MIZUNO / JAZZ ORCHESTRA ’75 (TBM1004 - 1975)

ソリストとして中村誠一氏、森剣治氏、渡辺香津美氏をフィーチャーしての24名によるオーケストラ・ビッグ・バンド。指揮は宮間利之氏です。「PART I」「PART II」と片面1曲ずつ。現代音楽的かと思いきや、どちらも怒涛のビッグ・バンド・ファンク。ゲートホールド内で佇む水野さんがかっこいいのです。
MOTOHIKO HINO QARTET + 1 / RYUHYO (TBM61 - 1976)

日野元彦氏に清水靖晃氏、井野信義氏、渡辺香津美氏、そして山口真文氏。スピリチュアル作品です。でもSTRATAとかBLACK JAZZとは違ったSOUL NOTEとかに残されてそうな硬質な音質。「日本には2人のドラマーがいる。森山威男と日野元彦だ」で始まるライナーも和ジャズファンならグッときます。
GEORGE OTSUKA QUINTET / PHYSICAL STRACTURE (TBM62 - 1976)

なんといっても「NAIMA」のカヴァー。古野光昭氏のベースがドライヴし、大野範夫氏のパーカッション、佐々木正三氏のワン・ホーンに、辛島文雄氏のシンセによる新解釈のアレンジ。辛島氏の代表曲でもある「LITTLE ISLAND」で鳴るムーグ的な音等、ジャズの電化とフリーとファンクの融合的アルバム。
GEORGE KAWAGUCHI’S THE BIG 4 / THE BIG 4 (TBM66 - 1976)

ドラマーのジョ−ジ川口氏率いるビッグ4。この時期のメンバーは、松本英彦氏、市川秀男氏、水橋孝氏。兎に角速い「ARBATOROSS」にラテンの「LOVE FOR SALE」、リムショットが凄まじい「MONDAY SAMBA」と多様なリズムとドラム・ソロ。最高なのは市川氏のローズも光る7拍子「INVADER 7」。
TSUYOSHI YAMAMOTO TRIO / SUMMERTIME (TBM69 - 1976)

「LIVE IN 5 DAYS IN JAZZ 1976」からのライヴ盤で山本剛氏の8作目。山本剛氏、大由彰氏、守新治氏によるトリオ作。オリジナル曲は「COOKIN’ THE BLUES」のみで後はカヴァー。スウィングする小気味のいいジャズをプレイ。左手のタメとオフタイム感とか山本剛氏らしいストレート・アヘッドなジャズ。
KUNIO OHTA QUARTET + 1 / FREE AND LOVELY (TBM72 - 1976)

太田邦夫氏、高野正幹氏、加藤雅史氏、夏目純氏、松浦克彦氏の平均24歳を切るフレッシュなグループ。本田竹曠氏の「CMT&T」のカヴァーなんかを取り上げているのですが、オリジナルの「FREE AND LOVELY」がいい曲。ジャズ云々というよりは曲の良さに耳が行くわけですが、サックスの鳴りもなかなか。
HIDEO ICHIKAWA TRIO / TOMORROW (TBM73 - 1976)

市川秀男氏、福井五十雄氏、山本秀男氏によるトリオで、曲によっては幾つかの多重録音を施してます。まずは「234」の冒頭部が圧巻。クラシックとフリーをジャズで割った感じというか。その後はファンキーに展開。「TOMORROW」はモーダル・ナンバー。他2曲は市川氏の流石の作曲センスが光る作品。
ISOO FUKUI QUARTET / SUNRISE/SUNSET (TBM78 - 1976)

TBMの2桁番台最終作は福井五十雄氏の初リーダー作。松石和宏氏のヴィブラフォンが肝。「7TH AVENUE SURISE」がモロに市川秀男氏節。美しいワルツ「LADY T」、大口純一郎氏等とのユニットでも再演した「7TH AVENUE SUNSET」、激メロウな「EARLY SUMMER」。TBMの中でも屈指の愛聴盤。いいね。
T.TKAHASHI & THE TOKYO UNION / MAIDEN VOYAGE (TBM3001 - 1976)

高橋達也氏率いる東京ユニオン。エレクトリックも用いながらのビッグ・バンド・サウンド。基本的にはよくスウィングするビッグ・バンド・サウンドで高速の「GIANT STEP」や「SIR DUKE」「THE PREACHER」等をカヴァー。タイトル曲は勿論HERBIE HANCOCK。ここは敢えて大胆な電化具合のギターに拍手。
KUNIO OHTA QUINTET / MY BACK PAGE (TBM3002 - 1976)

TBM72と同じフレッシュなメンバー。タイトル曲もBOB DYLANのカヴァーっていうのも若々しいね。そういったロック・カヴァーとしてCTI系楽曲とも遜色なし。オリジナルの「MAR Y SOL」もロック・ビート且つ爽やか。そして「ST. THOMAS」のラテン・アレンジのカヴァーが陽気でかなりナイス。
FUMIO KARASHIMA TRIO / GATHERING (TBM3004 - 1977)

辛島文雄氏のWHY NOT盤「ピラニア」に続くセカンド。ベースには鈴木勲氏、ドラムにジョージ大塚氏です。その2人に捧げたタイトル曲の他、サンバ・タッチの2曲、美しいメロディーの自作曲「GRINGO」とGARY McFARLANDの「ONCE WE LOVED」がいい。個人的にはソロ・ピアノ「SOPHIA」が大好き。
YOSHIO OTOMO QUARTET WITH TSUYOSHI YAMAMOTO / MOON RAY (TBM3007 - 1977)

大友義雄氏に山本剛氏、川端民生氏、オージェス倉田氏によるカルテット。TBMの中でもなかなかに通好みな作品として挙げられることも多い1枚です。それも分かるんです。このアルトの音色最高ですもの。ワルツ「EMILY」の丁寧さとか、NELSONの「SHUFLIN’」のカヴァーの指運の早さとか。いいアルバム。
WINDOW PANE / WINDOW RANE (TBM4002 - 1978)

「第一回に本ジャズ・グランプリ」で次点となったグループ。そこに森剣治氏をフィーチャーしたエレクトリック・ジャズ・アルバム。DIMENZIOとか引き合いに出すのは言い過ぎかもしれないけど、軽くブラジリアンの要素も持った「どうでもいいや」は日本よりも海外ウケが良さそうなジャズ・フュージョン。
KOJI MORIYAMA + TSUYOSHI YAMAMOTO TRIO / SMILE (TBM5002 - 1977)

森山浩二氏に、山本剛氏、井野信義氏、大隅寿男氏のピアノ・トリオがバック。ここで森山氏はコンガを披露せず。しっとり聴かせる楽曲がメインの中で飛び切りスウィンギーなのが「AROUND THE WORLD」のカヴァー。ナイス・スキャット。ボッサな「DAY BY DAY」はベースのアレンジが面白いです。
TEE & CAMPANY / SPANISH FLOWER (TBM 5008 - 1977)

総勢8名からなるコンボ。実質的リーダーは金井英人氏、高柳昌行氏、今田勝氏あたり。もちろんコンボ名の「TEE」はTBM藤井氏のニックネーム。かな。彼らの3枚目で、両曲とも今田勝氏の楽曲。いわゆる和製スピリチュアル・ジャズという言葉を出すなら、レア盤に手を出すくらいなら断然こっち。最高です。
AYAKO HOSOKAWA WITH T.MIYAMA & THE NEW HERD / CALL ME (TBM5013 - 1979)

細川綾子さんのヴォーカルにニュー・ハードがバック。TBMのTの字も知らない時分にUNIONさんでデッド・ストックが放出されてて良く分からずに買いました。「FEEL LIKE MAKIN’ LOVE」、「AIN’T NOTHIN’ NEW UNDER THE SUN」なんかを取り上げるところは流石アメリカ在住シンガー。いいアルバムです。
“SLEEPY” MATSUMOTO QUARTET / SAMBA DE SUN (TBM5014 - 1979)

松本英彦氏、市川秀男氏、水橋孝氏、関根英雄氏によるワンホーン・カルテット。「SAMBA DE SUN」という哀愁系テーマと躍動感溢れるソロのサンバ・ナンバー、リディアン・モードの「ANAID」のオリジナル、そして三木敏悟氏のTBM作で著名な「海の誘い」、そしてスタンダードを2つカヴァーです。
EIJI NAKAYAMA / NORTH PLAN (TBM5025 - 1982)

この頃からTBMはTRIO傘下へ。ベーシスト中山英二氏に山中良之氏、渥美孝昭氏、今田勝氏、宮野弘樹氏、スザンヌ・キム。録音上はベースへのスポットを当てつつ、サンバとスパニッシュ。JOHNNY'S DISKの1枚目と2枚目を足して、フュージョンさせたような雰囲気。「APRIL SONG」はほんといい曲。



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▼編集後記

オルガンバー所属。常連。ヒロセダイスケ。


30をとうに過ぎてもアニメっこ。DMR廣瀬です。最近アニソン・ベスト作りました。誰か貰ってください。2回に渡ったTBM特集なのですが、本当にすみません!。風呂敷広げすぎて自分で納められなくなって時間が掛かりすぎました・・・。ずらーっとジャズ・マラソン気味に聴きまくりましたが、やはりクオリティー高いっすね、TBM。でねでね、エウレカの27話の「ヘルター・スケルター」の引用ネタが「岡崎京子さんの漫画」ってwikiでも公式でもそうなってるんですが、どう考えてもMEAT BEAT MANIFESTOの曲名だろうと。ちなみに回胴の「エピローグ&プロローグ」も見ましたよー。漫画版に近い後日談でしたー。でも子供たちと2人が再会するシーンが見たかったなぁ(ネタバレ)。それと、コーラリアン・モードのアネモネ&ドミニクの後は、絶対ニルヴァーシュ最終形態にBGM「虹」があると睨んでるんですが、無いんですかね。無いみたいですけど。さてさて、アニヴァーサリーは呑むぞー。オルガン・バー、これからも宜しくお願い致します!。そしてDMRもご贔屓にー。ではではっ。
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