今月の10曲
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 あるレコード好きの知人に「よくレコード屋さんの解説カードとか通販レコードの紹介コピーとかDJの人のリコメンド文章とかにキラーチューンって書いてあるけど、どの位いい曲だとキラーって言うんでしょう」って聞かれたことがあります。「キラーっていうからにはやっぱり即死級にすごいっていうことではないでしょうか」って曖昧に答えたんですが。こうやって毎月このコーナーでいろんなレコードを紹介していても、その盤への思い入れが強いとついつい偏った持ち上げ方をしてしまいがちで、意識しないうちに過剰な装飾語を使っていたと思い当たる節もあったりして。自分も気をつけようと思った次第。しかし個人的な経験ですが海外のディーラーのリコメンド文章の“KILLER!”にはよく肩透かしを喰らいます。たまたま偶然かもしれないし、感性の違いって言われれば本当にその通りなんでしょうけど。「どこがや!」って思わず突っ込みたくなるようなレコードが空輸されてきたことも数知れず。それに比べると日本のレコード屋さんとかDJの人のコメントの方がよっぽど信頼出来ると思うんですが、少なくとも我々日本人の耳には。(鈴木雅憲)
MIX TAPE『PREMIUM CUTS 002』全32曲1600円。
このコーナーが更新される頃には発売されていると思います。
PREMIUM CUTS presents WEDNESDAY'S LINE UP
〜JAZZ、BRASIL、FRENCH、RARE GROOVE、HIP HOP、HOUSE ETC〜

01日(水)『みんなのうた
DJ: KUCHA / KAZI / 金森哲郎 / 佐野真久 / 鈴木雅憲  LIVE: La Defonce
08日(水)『組曲
DJ: 佐々木 実(37 Rocks) / TETSU(from ESSENCE) / 吉田祐輔 / 佐野真久 / 鈴木雅憲
15日(水)『Organ b. WEB
DJ: 須永辰諸 / WARA / 佐野真久 / 鈴木雅憲
22日(水)『Swing in full
DJ: 吉田広輔 / 佐藤淳一 / 西宮 / 佐野真久 / 鈴木雅憲
29日(水)『ローロヴァッツ
DJ: 渡辺由里 / 宮里 卓 / 神納光平 / 鈴木雅憲

TWISTE ET CHANTE
ENNNIO MORRICONE / Bandas Originales de Peliculas de ENNNIO MORRICONE / Bandas Originales de Peliculas de
( CAM )

エンニオ・モリコーネのサウンドトラック・ワークを集めた75年編のアルバムは、映画<女に尻尾があったとき>のテーマ曲であるスキャットボサ『CAN CAN DELLE "FILLY"』を収録。オリジナル盤の相場を聞いてそのレア&高値度合いにたまげて迷わず買ったベストアルバム。イタリアン・ラブコメディーのサントラらしいハッピーなメロディーの上で弾む、いかにも楽し気な女性スキャット。ブルゥノ・ニコライによるアンサー・ソング『女が尻尾をなくすとき』っていうのもあるようです。
NICOLA DI BARI / Canta a Sudamerica NICOLA DI BARI / Canta a Sudamerica
( ESPECIAL )

イタリアの男性シンガーの77年作は、全編ブラジリアン・タッチ。比較的ゆったりしたリズムで歌われる『DINDI』『CORCOVADO』『CHAGE DE SAUDAGE』など。ブラジリアンパーカッションがよく利き、フロアでも充分いけるのが『MAS QUE NADA』『TRISTEZA』。バックはカラフル、声質は渋め。耳慣れた曲も歌詞が違うだけでまた新鮮な印象。ハープシコードをフィーチャーしたインストのボッサ『DELICADO』も、いかにもヨーロピアン・ブラジリアンな感じ。よしおさんありがとうございました。
ROLAND THYSSEN ET SON ORGUE HAMMONDO / Hammondo Organ ROLAND THYSSEN ET SON ORGUE HAMMONDO / Hammondo Organ
( MONDE MELODY )

その『LE CORNICHONS』のカヴァー、そしておなじくニノ・フェレーの『MAO ET MOA』を収録したのがこのオルガンの魅力満載のフランス盤。ドラムもがっちり打っているし、いくつもの音色を使い分けているオルガンもやオルガンとともにリードをとるサックスもありがちな表現だけどよく“歌って”いて、ファンキーな仕上がり。ハイテンポのジャズ・ワルツ『SHUSS』やGO-GOナンバー『MONSEIEUR LE PRESIDENT-DIRECTEUR-GENERAL ET LE LAPIN』もかっこいい。
SERGE GAINSBOURG / Comment Trouves-Vous ma Soeur SERGE GAINSBOURG / Comment Trouves-Vous ma Soeur
( PHILIPS )

日本未公開っていう話を聞いたんですが、本当のところは知識不足で判りません。ともかく若き日のゲーンズブールが手掛けたフランス映画サントラ盤7インチ。オーケストレーションは名手ミッシェル・コロンビエ。タイトル曲『COMMENT TROUVES-VOUS MA SOEUR』はゲーンズブールの歌とおきゃんなガールズ・コーラスのかけあいがめちゃ楽しいJAZZY TWIST。『EROTICO TICO』はフルートとピアノが哀切なメロディーを奏でるおなじみのボッサナンバー。
JERRY MENGO / Cocktail a la Mengo JERRY MENGO / Cocktail a la Mengo
( MP2000 )

さまざまなスタイルのカクテル・ジャズ・オリジナル曲を集めたモンパルナス2000のライブラリー。スキャットとかが入っている訳では無いので取り上げられることもあまりないみたいだけど、モーダルJAZZ『PEPPER POT PARTY』や高速JAZZ『FAST TITLE』、ジャズ・ボッサ『SERRA DO MAR』『ANITA'S B.N.』など、使えるいい曲を収録。特に『ANITA'S B.N.』は、リカード・ボサノヴァと酷似したメロディーを持つ、リズムの立ったナイスTUNE。
DELLA REESE / Same DELLA REESE / Same
( RCA VICTOR )

あるジャズレコード店の親父さんに聞いたところ、こうした黒人の女性ジャズシンガーのレコードは最近全然売れないそうです。でも、実際いい曲もいっぱいあるんですが、パット・トーマスとかエセル・エニスとか。そういうエリアの素通りはもったいないなと思い、敢えて今回のMIX TAPEにも収録しました、このDELLA REESE。実際その『BLUE SKY』をフロアでかけたときは、先輩DJ諸氏に誰のレコードか訊かれました。アメ盤だしレアでも高価でもなく、すぐ見つかると思うので、気が向いたらぜひお試しを。
V.A. / The Name of the Game is Go V.A. / The Name of the Game is Go
( PANAM )

人気のエール・フランスの<ESCALE-PARTY>や、以前紹介したヴァリグ・ブラジル航空やチェコスロバキア航空のアニヴァーサリー盤、日航系などと同様、このパンナム盤もごきげんな内容で、ノリ君も言っていたとおり航空会社ものは良盤の宝庫かも。ソフトロックの王道を行くテーマソングのさまざまなバージョンを集めたA面には、日本語パートもあり。B面にはSTEVE ALLENによってビッグバンドJAZZアレンジに生まれ変わった『THE GOIN'S GREAT』などを収録。ジャケデザインもさすがパンナム。
CLAUDIO RODIT / Gemini Man CLAUDIO RODIT / Gemini Man
( MILESTONE )

トランペット&フリューゲルホルン・プレイヤー&コンポーザー、クラウディオ・ロディの、ブラジリアン・アルバム。ジャズ・ボッサ、ジャズ・サンバを基調に、全編にわたりのびのび気持ちよくブロウ。88年という時代柄か、さりげないシンセやエレピが絶妙の隠し味に。『BRAZILIAN ROOTS』『JACARANDA』などオリジナルの佳曲が並びます。自らなかなかのノドを聴かせる切ないメロディーのボッサナンバー『SNOW SAMBA』は、かつてコンピにも収録。
HORST JANKOWSKI / Star Portrait HORST JANKOWSKI / Star Portrait
( INTERCORD )

クラバーにもおなじみのピアニスト・アレンジャー、ホースト・ヤンコウスキーのドイツ盤2枚組。ヤンコウスキー・シンガーズのスキャットを全編にフィーチャーしたRECORD 1が特にいい。タイトル通りスキャットが美しいジャズロックナンバー『CHOR WERK 1』、ピアノが華やかに弾むGO-GO『JUNGE VON RIO』、ドライブ感に満ちたソフトロックナンバー『OL' MAN RIVER』、敬虔なメロディーが印象的なボサ『ROCKING VOICES』などなど。
THE MAURICE POP ORCHESTRA / Same THE MAURICE POP ORCHESTRA / Same
( STUDIO ONE )

同じくドイツのコンポーザー&アレンジャーで、先月も7インチ盤を紹介しましたモーリス・ポップ。やはり女性コーラス隊のスキャットを全編にフィーチャーし、スタジオ・ワン・ライブラリーS.O.7のB面を担当。リズムも骨太だしホーンアレンジも痛快でGROOVY。ライブラリーの常として“SHAKE”“LATIN BEAT”“SOUL BOUNCE”“FUNKY CHICKEN”“SLOP”といったリズムに分類されていますが、そこまでリズムの細かく聴き分けがつかないのは、こちらの耳が粗いせいですね、きっと。
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