ROK-SEY
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「第26回 存在しなかったハワイ産ソフト・サイケデリック」
Linda Perhacs / Parallelograms
よくあるくだらない話をしますね。少しだけです。

1÷3は0.333333…….。もしくは1/3と表せますよね。では、それぞれの解に今度は3を掛けてみます。そうすると、前者は9.999999……..。後者は1になります。ではでは、0.999999……と1はイコールなのか?。 という小咄。いや、小咄ではないけど。

と、くだらない話は以上です。えっと、このページの最後までくだらなかったら(予言)どうしよう。あと、自分の好きな与太話として「完全な球体を完全に平らな面に置いたら、接地面の面積はゼロ」というお話。まぁ、感覚としてはあんまりハテナな感じなんですけど。でも、まぁ「そうなんです!」と言われたら、まぁそうなんだろうなという薄っぺらい感覚と共に、でもそれは違うんじゃないかと強く言われたら納得しかねない危うい文系。ド近眼。

他所から与えられた強い前提に思考が左右されてしまうことなんて、きっとありふれた日常に多々あるはずで、ここで自分がプロフィールを述べているからといって、ほんとは実在しないかも。って事は無いのですが…。え!!!うん!無いよ!無い無い!いるよ!ここにいるよ!。そういえば、「筒美京平」が実は作曲家チームの名前ではないか、とか言われてたりしたこともあったようで、こちらもそんな事は無いのですが、無いよね?、あまりに多作すぎて譜面を清書する担当の助手さんが過労で倒れたという、こちらも一口話を聞いたことがあります。ほんとかな。

今回は、Linda Perhacsが初期活動期に残した唯一のアルバム「Parallelograms」です。ハワイ産ソフト・サイケの名盤と知られ、ハワイに訪れたレコード・バイヤーは…とか、もういいか。このアルバムが発掘された当初はハワイ産のレコードだと思われていましたが、その後、西海岸で録音されたレコードだと分かりました。どうやら権利元がハワイにあったから?ということが原因ですが、レーベル自体はKAPPなのでニュー・ヨークなのですけれど。って、今ジャケット裏のクレジット見たら、コピーライトの表記が「Hawaii Music Publishing Company Inc.」って書いてあります。お前か。お前が原因か。

自分が最初に買ったのは2003年に再発されたレコードでした。その際に改めて彼女の所在を当て、また彼女がマスターテープを所持していたことから、その後に未発表音源も含めての再発もされました。その前にも一度CDでも出ているよう。自分はその時、それがソフト・サイケの名盤だとか、なんの前知識も無く買いました。POPには「ハワイ産〜云々」って書いてあったかな。多分そうだったと思います。自分はハワイから聴こえる音楽だと思って聴いていましたから。

前知識無く、と書きました。ので、そんな時はやっぱりジャケットに魅かれたりPOPに魅かれたりして購入しました。後から答えを知っていると、やはりフラワーなジャケットな訳ですが、山の麓らしい少し鬱蒼とした草原にワンピースとハイヒールの後姿。霞む彼女の顔。そのジャケットの風景は、ハワイの少し田舎の方に進んでいったところで思いがけずに遭遇したぽっかりとある一場面。そう思っても自分はすんなり受け入れました。音数少ないギターのアルペジオと飾り気のないヴォーカルの多重録音。幽玄なエフェクト。少しスワンピーな要素もあったり。そして唐突に入るティンパニーからの別世界にハッとしたり。多分、ハワイから西海岸への憧れを思わせる朴訥さもあるのかもしれないな。とか、今更ながら訳知り顔で、結末を知ってる人は物知り顔で、語りたがるものなのかも。とか。とか。

ちなみに彼女は元々は歯科助士。そこの患者さんのプロデュースにより、このアルバム「Parallelograms」を制作。本作1枚を録音して引退していたものの、再評価を受けて、現在は音楽活動を再開しています。YouTubeなどでも最近のライヴ映像を観れますよ。相変わらず最高です。

で、このアルバムのタイトル「Parallelograms」。「平行四辺形」。歌詞を読んでも平行四辺形がどうしたんだがさっぱり分からないですけど。2組の対辺がそれぞれ平行である四角形。ということはどこまでも平たく潰せるんでしょうか。一つの線になるまで。それは、どこまで面積がゼロに近くなっても平行四辺形は平行四辺形です。でも面積がゼロになってしまったらそれは1本の直線になってしまいます。なんだか当たり前です。でもね、当たり前の事なんですけど、0.999999……=1だって当たり前の事なんです。もとい、当たり前の事なんですって。じゃあ、当たり前の事ってなんだ。それは、彼女の作品がハワイ産だろうか、西海岸産だろうが、とってもすばらしいってことで。だって、確かに「ハワイ産のLinda Perhacs」は僕の中に居ましたもの。はい!。我ながら強引に締めに向かっていますよ?。付いて来て下さい!。でも、当たり前であっても皆様にとって普遍的でなくっても構わないかもしれないです。僕が大好きだってこと。例えば秋だからこのアルバムを繰り返し聴いてしまう事とか。そんなプライヴェートな理由だけで好きって事。でも貴方が好きだともっと嬉しい事とか。0.999999……が1とか、感覚的にぴんと来ないものより、きっとあやふやだけど確かな感覚の方が断然しっくり来るって事とか。そんな「なんとなく」ってきっと大事だなーとかね。うん。お後が宜しいようで。今晩はほんとにきれいな満月でした。2015年9月29日。それでは失礼します!。



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▼編集後記

オルガンバー所属。常連。ヒロセダイスケ。


ほんとに何となく好きだったんですよね。なんとなくだけど、大好きなんですよね。そんなアルバム、いっぱいあります。そんなレコードが幾つも見つけられたらないいなーとか。裏づけとかあったら楽しいよね!っていうのがこのコラムの本意です。でも、それは後からでもいいんじゃない?ってのが真意です。甥っ子が「月が怖い」と言っていた1年前。今は大好きらしくて良かったです。今度プラネタリウム道を伝授しようと思います。月はどこまでも追いかけてくるからきっと家にも持って帰れるのか。とか。月一輪 星無数 空緑なり。そろそろ次は中秋の満月です。
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