あっという間に今年の夏も終わり。仕事も遊びもバタバタと忙しく、じっくり振り返る時間もなかったけれど、いま思い返してみると毎日が充実した夏だったかなぁと。

今月のテーマは、毎年恒例となりました「夏休みの思い出」。2012年の夏休みの思い出を、絵日記ではなく音楽日記としてお届けします。ちなみに日記の内容にはフィクションも含まれております。

Toru WATANABE (pee-wee marquette)

01,03,05,07,09:
Toru WATANABE (pee-wee marquette)
02,04,06,08,10:
Masao MARUYAMA (musique dessinee)



QUINTETO INSTRUMENTAL DE MUSICA MODERNA / JAZZ 6 PM
(PALMA)


8月03日 キューバに思いを馳せる
キューバを旅行してきた友人と飲み。自分にとっては未知の国であるキューバのことを根掘り葉掘り。やはり現地でのレコード店のことが気になり、自分がいつかいう時のために(?)いろいろな情報を聞く。おみやげにキューバのジャズやラテンを収めたレコードをくれた。いい奴だ。帰ってさっそく聴いてみると、冒頭の「SCHEHEREZADA CHA-CHA-CHA」が抜群に格好良いラテンだった。


TURI COLLURA / INTERFERENCIAS
(production dessinee)


8月6日 ブラジルでの出会い
この夏の衝撃的な出会いはブラジルで。TURI COLLURAと言うピアニストが奏でる、華麗過ぎるバップジャズ、ブラジリアン・ジャズの数々は、そのどれもがエレガントでクール。優雅なワルツの「FLOR」や、「LES HALLES (PARIS 2006)」などのヨーロッパ風味の楽曲にも驚かされたが、それもそのはず、彼はイタリア出身なのだ。さらなる驚きはラストを飾る唯一のヴォーカル曲の「HORIZONTE」。涙を誘う、青く切ない名曲だった。


JACQUES HIGELIN ET BRIGITTE FONTAINE / 15 CHANSONS D'AVANT LE DELUGE
(JACQUES CANETTI)


8月10日 フレンチジャズのコーナーから
フランスのシャンソン歌手がジャズやボサノヴァをやっているレコードが好きだ。今日もレコード屋の「FERNCH JAZZ」のコーナーでこいつを入手した。昔からよく見かけていたジャケット。ジャック・イジュランとの共作としては1966年の一作目以来10年ぶりの二作目にあたる。前作と変わらない作風で、ボサノヴァ曲「LA VIE SUR LES BRAS」やジャジーな「LA COTELETTE」が最高。


SILVETTI / CONCERT FROM THE STARS
(HISPA VOX)


8月11日 晴れのち雨
どこまでも澄み渡る青い空が、突然ご機嫌斜めになるのも夏の風物詩。さっきまでのお天気が、突然の夕立に…。でも、雨宿りのBGMはもう決まっている。春の心地良い雨には「SPRING RAIN」。そして夏の雨にはこの「SUN AFTER THE RAIN」を。アルゼンチン出身の作編曲家、シルヴェッティが描く優雅でメロウなサウンドが、雨宿りの時間の経過を忘れてさせてくれた。


JOE MUDELE TRIO / DINE AT LE DOLOMITI
(CUSTOM)


8月15日 イタリアンレストランにて
近所のイタリアンレストラン「LE DOLOMITI」でディナー。いつものように前菜・ピザ・パスタをワインでいただく。このレストランは専属バンドの演奏があってお気に入りなのだが、マスターは何を血迷ったか、このバンドのレコードを作ったそうだ。で、スタイリッシュなジャケットに魅せられ即購入。トリオ編成でのジャズやボサノヴァの演奏は耳障りがよく、食事のお供としては最高だ。


TOP SOUND/NEW TIGERS / TOP TIGERS PLAY NEW SOUND (CA IRA)

8月17日 北欧の海辺
少し遅めの夏休みをどこで過ごすか考える。手に取った旅のカタログには、色んな国の海辺の写真が載っていた。中でも惹かれるのは、どこか涼しげな北欧の海辺の街。スウェーデンのインディポップバンド、TOP SOUNDと、THE NEW TIGERSがお互いの楽曲をカヴァーし合ったこの7”は、まさにそんな海辺の風景が浮かぶような、爽やかな1枚。どこまでも心地良く、軽やかなギターサウンドを聴いているだけで、北欧の海辺にいる気分になった。


THE TED TAYLOR FOUR / IN A MIDNIGHT MOOD (DAVJON)

8月20日 真夜中のムード
朝日を見に海に行った。夜明け前、漆黒の闇の中から海の音だけが聞こえてくる様子は恐怖を覚えたのだが、やがて東の海上から朝日が昇ってきたときは皆で歓声を上げた。真夜中の海にはテッド・テイラーのイージーリスニングが似合う。深いオルガンの音色を軸としたスモールコンボ。時々スキャットも交えた演奏は、夜明け直前の闇の中から現れる瞬きのような美しさに溢れている。


ワンダフルボーイズ / ビューティビューティビューティフルグッバイ (P-VINE)

8月22日 地元の蒸し暑い夜…
地元・関西に面白いバンドがいるらしいので、早速観に行った。そのグループ名、ワンダフルボーイズってだけでも、かなりのインパクトだったが、さのサウンドはグループ名以上のインパクト。90年代のあの甘酸っぱい感じが、たっぷり詰まっているのに、ただ懐かしいだけじゃない、フレッシュなフィーリングにも溢れたステキなバンドだった。中でも、タイトなドラムブレイクで幕を開ける和製ソウル×ヒップホップな「SE」〜「JOY TO THE WORLD」が心に響いた。


MONSIEUR PERINE / HECHO A MANO (Monsieur Perine)

8月27日 CATALINAちゃんに釘付け
そろそろ秋の気配がそこかしこに見られる8月末。友人D氏が教えてくれた南米コロンビアのバンド、MONSIEUR PERINE。紅一点女性ヴォーカリストのCATALINA GARCIAはルックスから歌声までとにかくキュートで釘付けになった。日本ではあまり流通していないようだけど、代表曲「SUIN ROMANTICON」はYoutubeでPVを観ることができるので是非チェックしてほしい。


THE SIMPLE CARNIVAL / GIRLS ALIENS FOOD
(production dessinee)


8月31日 ミザリー
アメリカ、ピッツバーグ在住の男性SSW、ジェフ・ボラーによる一人ユニット、ザ・シンプル・カーニヴァル。何となく、夏の終わりの寂しげなお祭りを連想させるような、しないような名前が印象的。全ての楽器とヴォーカルをこなすと言うマルチぶり、雰囲気抜群の歌声に、60年代の上質のポップスをベースにしたソングライティングのセンスの良さが光る才人だ。中でも、一聴でそのメロディが脳裏にこびりつくようなメロウ過ぎる名曲「ミザリー」が絶品。毎年夏が来る度に思い出す、そんな1曲になりそうだ。